26 巻 (1955) 4 号 p. 207-209
皮革や膠の原料としての動物皮の組成を知るために兎,犬,豚,鹿,仔山羊,牛,閹牛,馬の塩蔵原皮の化学的組成を分析した。
前報告の加塩貯蔵中の変化を考慮に入れ,一般組成,蛋白質組成及びそれらから計算した全有機物中の成分組成からみると次のことが認められる。
牛皮.閹牛皮,馬皮は他のものより水分を多く保ち,粗蛋白質量は少いが,その中でCollagen量は多くKeratin量は少い。犬皮,豚皮は特に脂肪が多い。豚皮はkeratin量もCollagen量も最も少い。犬皮のKeratin量及びCollagen量は閹牛皮に似ている。豚皮馬皮を例外とすれば概して厚度大なるものはCollagen量も多い。水分,灰分及びKeratinを除外して計算した真皮組成からみると次のことが考えられる。
脂肪含量の分析値は広い範囲にわたつているが,豚皮犬皮を除けば全体として5~15%であり,牛皮,閹牛皮,馬皮はその他のものに比べて脂肪量が少い。可溶性蛋白質は特に豚皮に少く,仔山羊皮,鹿皮に多いようであるがその他のものでは3~5%とみられる。
Elastin及びReticulin量は犬皮豚皮では少く,仔山羊皮では特に多いがその他では3~6%とみられる。Collagen量は豚皮では特に少く仔山羊皮ではやや少いがその他では70~80%とみられる。この場合に厚度とCollagen量の関係は明かでない。
終りに本実験を行うにあたり終始御懇篤なる御指導を仰いだ恩師佐々木林治郎先生に厚く御礼申上げると共に,原皮の御世話をいただいた明治製革株式会社松村技師,内富技師,東京都衛生局中島技師の諸氏に御礼申上げます。