27 巻 (1956-1957) 3 号 p. 223-229
平均気温21°Cの際に前回の研究に用いたものと同じ橇を曳かせて2時間の労役を課した場合と,夏の直射日光下に2時間繋留して熱負荷を与えた場合との,黒毛和牛の生理的性質に及ぼす影響について比較研究した。その結果を要約すれば次の通りである。
1) 体温及び呼吸数については,労役及び暑熱の影響によつて類似の傾向をもつた増加が見られるが,その場合労役の影響による増加の方が著しい。従つて夏の直射日光下で労役を課する場合には,これらの性質については,労役と暑熱との加算的影響があるものと推定される。
2) 脈搏数については,労役の影響としては漸次増加する傾向が見られるが,夏の直射日光下においては有意の変化は見られない。
3) 血乳酸については,労役の最初の30分間にはわずかながら有意の増加が見られるが,夏の直射日光下では有意の変化は見られない。
4) 血糖,血色素,血水分,血粘度,血沈等については,労役及び夏の直射日光のいずれの影響としても有意の変化は見られない。しかし有意性の認められなかつたこれらの変化については,今後の研究が必要であろう。