33 巻 (1962-1963) 1 号 p. 16-23
1. 赤クローバーおよびケンタッキー31フエスキューから濃厚部を分離し,そのアミノ酸組成をMOOREand STEIN5)の方法によつて測定した。その結果(第2表),両牧草の濃厚部において,アミノ酸組成は非常によく一致し,アスパラギン酸とスレオニンを含む部分およびグルタミン酸がもつとも多く,ロイシンがこれに次いだ.シスチン含量は,いずれの牧草においても,もつとも少なく,つづいてメチオニン,トリプトファン,ヒスチジン,チロシンの順に少なかつた.以上にあげた以外のアミノ酸は,いずれもほぼ同量ずつ含まれていた.しかしプロリンだけは定量できなかつた.
2. 牧草濃厚部のアミノ酸組成を,ROSEが示した幼白鼠に必要なアミノ酸の量と比較すると(第3表),両者ともヒスチジン,リジン,メチオニン,スレオニン(赤クローバーについては不明),トリプトファンが不足することがわかつた.
3. 不足アミノ酸のうち,メチオニン,リジン,ヒスチジン,スレオニン(ケンタッキー31フェスキューについてのみ)を牧草濃厚部に添加して,白鼠の生物価を測定した.その結果,濃厚部のみを蛋白質源として与えた場合に比較して,アミノ酸添加の濃厚部を与えた場合には,白鼠の体重増加および生物価は非常に向上することがわかつた.すなわち,不足アミノ酸の添加が栄養上有効であることが,動物試験によつて実証されたのである.しかし消化率には,わずかな向上しか認められなかつた.