33 巻 (1962-1963) 1 号 p. 38-46
1. 妊娠中の家兎:視索上核および脳室旁核の細胞はいずれも核の肥大と顆顆の生成および放出を示し,分泌活動が盛んである.視床下部下垂体路および後葉の顆粒は,妊娠後5日,15日および20日には多いが,10日と25日にはわずかに減少し,周期的な変化を示す.前葉では,神経分泌物の進入が多い妊娠後5日,15日および20周に,酸好性細胞は増加し,塩基好性細胞は顆粒の減少と空胞形成を示す.このうち特に神経分泌物の進入が多い5日と20日には,酸好性細胞にも顆粒の放出が認められる.前葉への神経分泌物の進入が比較的少ない10日と25日には,酸好性細胞が減少し,逆に塩基好性細胞が増加する.
2. 分娩中の家兎:視索上核および脳室旁核の細胞はいずれも核が肥大し,顆粒は空胞化して減少する.後葉の顆粒は非常に少なく,特に血管の周囲で減少が顕著で,血行中への顆粒の放出増加を示している.中間葉および前葉への神経分泌顆粒の進入は非常に多い.前葉では,酸好性細胞,塩基好性細胞ともに顆粒の減少がみられ,特に塩基好性細胞で顆粒の空胞化が顕著である.
3. 泌乳中の家兎:視索上核および脳室旁核の細胞はいずれも核が肥大し,顆粒の生成と空胞化を示し,分泌活動が盛んである.後葉では,血管の周囲で顆粒の減少がしばしばみられ,特に哺乳開始後5分のものに減少が顕著である.中間葉および前葉に進入する神経分泌物は,一般に多く,特に哺乳開始後5分のものでは,腺体の底部にまで及んでいる.前葉細胞には,顆粒の減少と空胞化がしばしば認められ,この所見は,前葉への神経分泌物の進入が多い哺乳開始後5分のものに,特に顕著である.これらの変化は,泌乳現象にあずかる二つの機構,すなわち,後葉ホルモンによる乳汁の排出と,前葉の泌乳刺激ホルモンによる乳汁の分泌とを,形態学的に証明するものと考えられる.