日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
神経分泌と前葉細胞
III. 去勢後の家兎における下垂体前葉細胞の変化と神経分泌との関連
中原 達雄
著者情報
ジャーナル フリー

33 巻 (1962-1963) 2 号 p. 111-120

詳細
PDFをダウンロード (2449K) 発行機関連絡先
抄録

去勢した家兎の視索上核および脳室旁核の細胞は,去勢手術後1日および3日に,わずかに分泌亢進を示すが,10日には多くの分泌空胞を含み,1ヵ月以降には,しばしば細胞核が肥大し,分必空胞の増加がみられ,著しい分必亢進を示した,術後2ヵ月と6ヵ月には,これらの核の細胞は,去勢後の神経分必に一種の周期的変化があることを想像させるように,分必活動が軽度に低下した.術後8ヵ月には,これらの核に,退行変性を示す細胞が出現し,神経分必は極度に低下した.
神経分必の亢進につれて,視床下部下垂体路の顆粒は増加し,漏斗および漏斗柄では,腺性下垂体の結節部から係蹄状に進入した血管の周囲に,多数の顆粒が集合しているのがみられた.一方,後葉の顆粒は,中間葉を経て,前葉の背尾側の腺細胞間隙に進入する.去勢後の前葉では,しばしば多量の神経分泌が認められた.
去勢後の前葉細胞では,gonadotrophsが増数肥大し,その分布は,腺体の周辺部のみならず,中央部の酸好性細胞の多い部分にもみられた.また,前葉内に神経分泌物が増加した時期には,gonadotrophsに顆粒の減少と空胞の形成が顕著に認められた.thyrotrophsは,術後8ヵ月を除いた他の時期には,小型で,数も少なく,主として腺体の底部に分布する.術後8ヵ月には前葉で,thyrotrophsの肥大と増数がみられた.酸好性細胞は,去勢後の初期にはわずかに増加したが,その後は,gonadotrophsの増加につれて減少した.
以上の結果がら,去勢後の神経分泌の亢進と,前葉のgonadotrophsの増数肥大および顆粒の放出との間には,密接な関係があるものと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top