39 巻 (1968) 12 号 p. 543-548
めん羊を用いて,大麦とマイロとを煮沸した場合,その各種栄養素の消化率への影響を検討した.
大麦の場合は,めん羊2頭を用い,おのおのについて煮沸区と無処理区とを設けて消化試験を行なった.飼料はひき割り大麦2,ふすま1,野乾草4の割合に混じて与えた.その量は,1日量が体重の2.5~3.0%であった.その結果,大麦を煮沸すると粗蛋白質の消化率が明らかに低下した.すなわち,無処理区71.0%,煮沸区62.6%であった.粗脂肪と粗繊維の消化率は,煮沸によりいくぶんよくなる傾向がみられた.その他の成分の消化率には,煮沸の影響は認められなかった.
マイロの場合は,めん羊4頭を用いて,2頭ずつ2区に分け,1区を煮沸区,他の区を無処理区として消化試験を行なった,飼料は,めん羊1日1頭当り粉砕マイロ400g,ふすま200g,野乾草400gを与えた.その結果,マイロ煮沸区は,無処理区より粗蛋白質,粗脂肪,粗繊維の消化率がいくぶん低下する傾向がみられたが,その他の成分の消化率には,とくに差はなかった.
以上の結果から,大麦やマイロを煮沸しても,その飼料全体のTDNを高めることは期待できず,粗蛋白質の消化率はむしろ低下する恐れがあると考えられた.