日本畜産学会報
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マウス下垂体のプロラクチン分泌と乳腺発育におよぼすヘキセストロールジ脂肪酸エステルの影響
長澤 弘矢内 玲子小野 浩臣
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1972 年 43 巻 6 号 p. 326-330

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抄録

60-80日令のC3H/He系未経産雌マウスを用い,一連のhexestrolジ脂肪酸エステル[hexestrol diacetate(H2), h. dibutylate (H4), h. dicaproate (H6), h. dicaprylate (H8), h. dicapriate (H10), h. dilaurate(H12)]各100μgを1回皮下注射し,発情周期,28日目における下垂体•卵巣•子宮重,下垂体prolactinおよびgrowth hormone (GH)含量,wholemount標本による乳腺発育などから,これらestrogenのestrogenic作用や下垂体grolactinおよびGH分泌促進効果の強さ,およびその持続性,乳腺発育に対する影響を検討した.
1) H2を除いて,各estrogen注射群のスメアは,実験期間中ほぼ発情像を示し,卵巣,子宮の重量はそれぞれ対照群にくらべて有意に減少あるいは増加し,下垂
体prolactin量も有意に高くなった.GH量に対する影響は認められなかった.
2) しかし,にれらの検索項目のいずれにおいても,H4~H12群の間に顕著な差異はみられず,本実験に用いられた量および実験期間では,estrogenicな作用やprolactin分泌促進効果の強さおよびその持続性において,H2を除く各estrogenの間に著しい違いはみられなかった.
3) H2群の乳腺は対照群とほぼ同様の発育状態であったが,H4~H12群の乳腺では,全体としてend-budは消失し,退行した乳管系のみを示した.しかしこれら乳管系の末端部には異常に発育した乳腺胞が認められ,その程度はおよそH4>H6〓H10〓H12>H8の順であった.
以上の結果について考察が加えられた.

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