49 巻 (1978) 3 号 p. 155-164
菜種粕に含まれる特殊成分の抗甲状腺作用を減弱する方法として,γ線照射が有効であるかどうか,また,そのために必要な線量を知ろうとして,オートクレーブによる蒸熱処理および低グルコシノレートの菜種から製造された菜種粕(低グルコシノレート粕)とも対比して,照射(5∼100Mrad)による菜種粕のオキサゾリジンチオン(OZT)含量の変動について調べた.また,照射が菜と種粕のいくつかの成分含量におよぼす影響,さらに,ヒナを用いてその嗜好性および消化性におよぼす影響についても検討を加えた.1)菜種粕のOZT含量は,50Mrad以上の線量の照射によって低グルコシノレート粕のそれと同じ程度にまで顕著に低下した.また照射により有効性リジンの損失がみられたが,これらの変動の様相は,適切な条件下で行った蒸熱処理による場合にほぼ類似していた.2)50Mrad以上の線量の照射によって,菜種粕の粗繊維および還元糖の含量には顕著な変動がみられ,前者は低下し,後者は増加した,照射により菜種粕の嗜好性は改善される傾向にあり,また粗繊維の消化率は向上したが粗たんぱく質の消化率には照射の影響はほとんどあらわれなかった.3)以上の結果から菜種粕に対するγ線照射は,その特殊成分の抗甲状腺作用を減弱する方法として有効であり,50Mrad以上の照射によって適切な条件下における蒸熱処理に匹敵する効果が期待できるように考えられた.