50 巻 (1979) 8 号 p. 535-541
牛の第一胃粘膜切片を用い,1-14C-酢酸,1-14C-プロピオン酸および1-14C-酪酸を基質として振とう培養を行い,生成した代謝産物への放射活性のとりこみについて検討した.代謝産物はCO2,全有機酸,総脂質,非脂質および抽出残渣に分画し,またこれらの画分のあるものについてはさらに詳細に分画した.CO2画分へのとりこみ,すなわち完全酸化される割合は酢酸に比してプロピオン酸と酪酸で多く,炭酸の存在する緩衝液系では存在しない緩衝液系に比べて,プロピオン酸の酸化が約2倍に増加した.有機酸としては,1-14C-酷酸は乳酸,β-ヒドロキシ酪酸およびピルビン酸に,1-14-プロピオン酸は乳酸およびコハク酸に,1-14C-酪酸はβ-ヒドロキシ酪酸および乳酸にとりこまれていた.また,量は少ないが,各低級脂肪酸間に相互変換が認められた.しかし,いずれの低級脂肪酸基質においても,上記以外の有機酸にとりこまれている部分がかなりあることが示唆された.総脂質画分にも各低級脂肪酸ともかなりとりこまれており,そのなかで燐脂質および遊離高級脂肪酸へのとりこみが多い.しかし,総脂質画分のうち分画測定した脂質以外に,とりこまれている部分がかなりあった.非脂質画分へのとりこみは各低級脂肪酸とも10%以上であり,おもに中性画分へのものであるが,糖であるとは考えられなかった.カチオン画分(アミノ酸)には全くとりこまれていなかった.組織蛋白と考えられる抽出残渣画分へのとりこみは,1%以下であった.