絶食時にも盲腸糞の排泄がかなりあることから,盲腸内容物の成分,とくに窒素成分が給食時とどのように異なるかを,60日齢の単冠白色レグホーン種雄を用いて検討し,盲腸内容物の由来を明らかにする手掛りを得ようとした.1) 24時間絶食し,盲腸内容物中の全窒素を調査した結果,その含量は給食時よりも高い傾向を示した.2) 給食時および絶食時における盲腸内容物と小腸遠位端内容物中の各窒素成分(アンモア態窒素,尿酸態窒素,尿素態窒素)を経時的に調査した結果,盲腸内容物は各窒素成分ともに給食時の小腸遠位端内容物よりも数倍高い値を示した.なお絶食時の小腸遠位端には測定できる量の内容物が存在しなかった.3) 盲腸内容物中の窒素成分は給食時および絶食時ともに日内変動がみられたが,絶食あるいは盲腸糞排泄による特異的な差異はなく,また人工肛門設着鶏と通常鶏の盲腸内容物中の窒素成分量にも差がみられなかった.以上の結果から,盲腸内容物中の窒素成分は内因的な分泌物に由来する部分が大きいものと推論される.