日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
自然発酵およびプロピオン酸または過酸化水素を加えた初乳の細菌学的変化
三浦 弘之三上 正幸岡田 武保
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 51 巻 4 号 p. 267-272

詳細
抄録

余剰初乳を仔牛に給与する試みが最近行なわれているが,本実験では分娩後5日間の初乳を集め,過酸化水素またはプロピオン酸を添加して,実験室規模で保存試験を行なった.1. 初乳の微生物は,分娩直後に比較約多く,大腸菌群,ブドウ球菌も含まれているものもあった.2. 混合初乳の保存中の一般細菌数は,20°Cで3~5日目にピーク(1×109/ml)があり,その後わずかに減少するが,大腸菌群は21日目で1×103/mlまで減少した.3. 過酸化水素を添加すると大腸菌群は1日目で0となり,一般細菌数においても0.5%添加では5日目で,1.0および1.5%添加では1日目で0となった.4. 過酸化水素の残存量は0.5%添加では1日後に0になったが,二次汚染に対する注意が必要である.1.0%添加では約4.000ppm,1.5%では約10.000ppm残存した.5. プロピオン酸を添加すると一般細菌数は0.5%添加では3日目まで,1.0%添加では5日目まで,1.5%添加では21日目まで増殖が抑制された.一方大腸菌群は1.0および1.5%添加では1~3日目でほぼ0となった.6. NPNは細菌数の増加と関係があって,過酸化水素は0.5%,プロピオン酸は1.0%添加することによって増加がほぼ抑えられた.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top