抄録
6頭の去勢めん羊を3頭ずつ2グループに分けた.一方には0.15%,他方には0.98%のマグネシウムを含む飼料を与えた.始めの3週間を無処理期とし,その後の2週間をビタミンB1注入期とした.ビタミンB1注入期にはすべてのめん羊に毎日体重1kgあたり1.5mgのthiamine tetrahydrofurfuryl disulfide hydrochlorideを筋注した.低マグネシウム飼料を与えためん羊ではビタミンB1注入により,尿,糞中へのマグネシウム排泄量は増加し,体内保有量は減少したが,高マグネシウム飼料を与えためん羊ではその影響は見られなかった.ビタミンB1注入により糞中への鉄,マンガン排泄量は増加したが,その傾向は高マグネシウムを与えためん羊より低マグネシウムを与えためん羊の方がより明らかであった.高マグネシウム飼料は糞中亜鉛排泄量の増加を引き起こし,亜鉛の出納を負の値にした.