日本畜産学会報
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豚革製造におけるウェットブルーの調製と保存
久保 知義石井 泰博
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1982 年 53 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

クロム含有量とpHの異なる豚皮ウェットブルーを調製し,これを20°Cおよび37°Cで3ヵ月間貯蔵後,ソフトクロム革に仕上げ,ウェットブルーの調製条件と貯蔵条件の影響を製品革の性状から検討した.1) ウェットブルーの化学分析値に対する貯蔵の影響は認められなかった.2) ウェットブルーのクロム含有量の差異は,再鞣においてクロム鞣剤を使用することにより縮少するが,完全には消失しない.3) 仕上り革の化学分析値に及ぼすウェットブルーの貯蔵の影響は明らかでない.4) ウェットブルーのクロム量が多いと仕上り革の剛軟度,伸び,引裂強さなどが低い.5) ウェットブルーのpHが高いと仕上り革の剛軟度は上昇し,この傾向はウェットブルーの貯蔵によって影響を受けなかった.これらのことから,ウェットブルーからの製出革の性質は,ウェットブルーの貯蔵よりも調製条件により大きな影響を受けることが示唆された.

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