日本畜産学会報
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黒毛和種雌牛の発育様相と生産能力の関係
小畑 太郎向井 文雄
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53 巻 (1982) 9 号 p. 605-611

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抄録

黒毛和種雌牛の発育様相と生産能力との関係を調べる目的で,農林水産省中国農業試験場畜産部で生産された75頭の繁殖雌牛の発育記録を分析して,体重と体高測定値に最も良く適合する発育モデルを検索した.また雌牛の繁殖能力および産子の離乳前発育能力に対するEPD (Expected Progeny Difference)と発育モデルを規定するパラメータ推定値ならびにモデルから推定した月齢値との関連性を検討した.繁殖能力としては初産分娩時の年齢,平均分娩間隔,生産年数当たりの産子数および雌牛の年齢当たりの産子数をとりあげた.離乳前の発育形質には産子の180日齢体重ならびに体高測定値,生時から180日齢までの体重と体高の増加量をとりあげた.EPDはHENDERSON (1973)が示したBLUP法を用いて算出し,雌牛の育種価と見做した.5非線型発育モデル(Brody, Logistic, Gompertz, von Bertalanffy, Richards)への適合個体数は,体重ではGompertzとBrodyで多くvon Bertalanffyで少なかったが,体高ではすべてのモデルが適合した.モヂルヘの適合程度を残差平均平方と寄与率でみると,体重と体高のいずれについてもRichardsの適合度が優れていたため,以後の分析には同モデルを採用した.成熟サイズ(A),積分定数(B),成熟速度(K),曲線の型を規定するパラメータ(M)の推定値と,初産分娩年齢,平均分娩間隔,生産年数当たりの産子数との相関はいずれも低く,体重のB,Mならびに体高のAと雌牛の年齢当たりの産子数との間に有意な負の相関がみられたにすぎなかった(それぞれr=-0.336,-0.329,-0,291).体高のAと180日齢体重のEPDとの間には有意な正の相関が認められたが(r=0.303),その他の体重と体高の発育パラメータと,離乳前の体重と体高の増加量や180日齢体高のEPDとの相関は有意ではなかった.雌牛の体重と体高の実測値とEPDとの相関は雌牛の月齢により著しく変動した.一方,モデルから推定した6~48ヵ月齢までの雌牛の体重推定値と,産子の離乳前増体量ならびに180日齢体重のEPDとの相関はいずれも有意であった(r=0.312~0.525).また,18~48ヵ月齢までの体高推定値と180日齢体高ならびに生時から90日齢までの体高増加量との間には有意な正の相関が認められた(r=0.316~0.370).ただし,6~48ヵ月齢時の雌牛の体重ならびに体高推定値と,90~180日齢までの体高増加量のEPDとの相関はいずれも低かった.これらの結果から,雌牛の体のサイズは産子の離乳前の発育形質のEPDと正の関係があるが,Richardsのモデルからの推定値を使用すれば相関関係が明瞭になることが認められた.

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