日本畜産学会報
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ホルスタイン種去勢牛肥育における初期発育が総増体量に及ぼす影響
小林 茂樹吉田 豊川島 栄
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1983 年 54 巻 3 号 p. 192-199

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抄録

わが国におけるホルスタイン種の育成と肥育には,近年早期離乳や短期間の強制群飼育の方法が普及してきた.この不自然な飼養法のため,しばしば子牛や去勢牛の一時的発育停滞が惹起されている.発育低下が後期にしばしば代償されることも,知られている.しかし,一時的発育停滞が全肥育期間における総増体量に影響するのか否かに関する報告は,非常に少ない.著者らは,東京農業大学農場富士分場において20頭の雄子牛を用いて,発育停滞とその代償性発育の発現時期,ならびに総増体量に対する初期発育の影響を,調べた.その結果,発育停滞は4~6ヵ月令(5ヵ月令で最低値0.46kg/日)で観察され,これは去勢および飼料の切換えに起因したと考えられた.この初期の発育停滞は,その後の育成期に代償される傾向を示し,全期間の総増体量に対しては影響を及ぼさなかった.総増体量は,むしろ186~215日令,216~245日令,246~276日令,277~306日令,334~365日令および455~485日令における平均1日増体量との間に有意な正の相関をもった,また総増体量は,育成開始時の日令および体重によって影響されなかった.本報の飼養条件下では特に6~10ヵ月令時に,良好な条件下で発育を保持することが,ホルスタイン種去勢牛の育成および肥育効率の高水準達成のために重要であると,示唆された.

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