日本畜産学会報
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薩摩鶏交雑ブロィラーのむね肉およびもも肉の筋線維構成に関する研究
岩元 久雄守田 智尾野 喜孝高原 斉東上床 久司久木元 忠延後藤 静夫
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1984 年 55 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

本研究は薩摩鶏交雑ブロイラーの骨格筋を構成する筋線維の特質を明らかにし,薩摩鶏の肉質改善への効果を追求したものである.材料鶏は薩摩鶏(SA)雄と伴性矮性劣性遺伝子(dw)を持ったWhite Rock (WRdw)雌およびDw遺伝子を持ったWhite Rock (WRDw)雌とを交雑したブロイラー雄を用いた.対照鶏としてWhite Cornish (WC)雄とWRDw雌との交雑によるブロイラー専用種雄,SAおよびWRdw純系のブロイラー雄を供試した.各鶏種とも,深胸筋および大腿二頭筋はII-R型とII-W型筋線維から,大内転筋はI-R型とII-R型筋線維から構成されていた.WC×WRDwの深胸筋と大腿二頭筋ではII-W型筋線維が多く,II-R型筋線維は少なかった.これに対して,SAの同筋ではWC×WRDwのそれらよりII-R型筋線維を多く持つ傾向が見られた.このようなSAにWRdwを交雑したブロイラーは初期発育が速くなったものの,同時に深胸筋及び大腿二頭筋ではSAよりII-R型筋線維の割合が減少する傾向を示した.しかし,SA××WRdwはWC×WRDwより明らかに多くのII-R型筋線維を持っていた.また,SA××WRDwもWC×WRDwより多くのII-R型筋線維を持っていた.以上のことから,薩摩鶏交雑ブロイラーを初期発育のすぐれたものへ改良していくならば,II-R型筋線維を多く持ち,いわゆる赤味の濃い肉を産する薩摩鶏交雑ブロイラーの特質が消失するのではないかと推察した,大内転筋ではすべての鶏種において,I-R型とII-R型の中間に位置する筋線維型が観察されたが,それらはII-R型からI-R型筋線維への移行中のものと推察される.

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