1977年,1978年および1981年の調査によって,インドネシアにおける野鶏の形態学的同定と分布ならびに赤色野鶏と緑襟野鶏の生態学的相互関係が検討された.ジャワの赤色野鶏6羽,スマトラとスラウェシの赤色野鶏8羽および緑襟野鶏14羽を計測し,その主成分分析を行い,次の結果をえた.(1) 第1主成分では,雄のG. gallus gatlusとG. gallus bankiaaならびに雄と雌の緑襟野鶏は明瞭に区別されるが,第2主成分では区別されなかった.(2) 第1•2主成分において,緑襟野鶏の雄はG.g adlusとは区別されるが,G. g. bankivaとは少し重複する.また31地点における聴きとり調査の結果,次の生態学的特徴が明らかにされた.(3) スマトラとスラウエシにはG. g. gallusだけが生息し,ジやワ,バリおよびロンボクにはG. g. bankivaと縁襟野鶏とが分布している.(4) G. g. bankivaは深い森林に生息し,緑襟野鶏は森林のみならず耕作地に近いくさむらにも生息し,同一地域にすむ両種間に明瞭な生態的隔離が認められる.