日本畜産学会報
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鶏ヒナの発育および血中コレステロールに及ぼす飼料中サポニンの影響とコレステロールによるサポニンの毒性緩和効果
テラプントワット スイット田先 威和夫
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1986 年 57 巻 6 号 p. 524-533

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抄録
鶏ヒナに対する飼料中サポニンの有害作用と,コレステロールによるその緩和効果について検討した.すなわち飼料中サポニンはその含量に応じてヒナの成長を阻害し,また飼料摂取量を低下させた.大豆蛋白を主成分とする飼料に0.4%または0.8%のサポニンを添加することにより生じたヒナの成長低下は,それぞれ0.4%または0.8%のコレステロールを飼料中に添加することにより完全に防止することができた.アルファルファLPCを主成分とする飼料は0.6%のサポニンを含有しており,これを給与すると大豆蛋白質飼料に比較してヒナの成長が減退したが,0.6%のコレステロールを添加すればそれを防ぐことができた.LPC飼料にサポニンを0.4%添加すると発育阻害の程度は高くなったが,これも1.0%のコレステロール添加により防止できた.大豆蛋白飼料を給与したヒナの血漿中コレステロールは約200mg/dlであるが,これにサポニンを添加するか,またはLPC飼料を給与すると血漿中コレステロール濃度は低下した.しかし飼料中に適量のコレステロールを添加すると,血漿中コレステロールは通常レベルにまで回復した.以上の諸点より,アルファルファLPCはそれに含有されるサポニンの作用によりヒナの発育を抑制するが,サポニンの含量と同量のコレステロールを飼料中に添加すればサポニンの害作用を除去できることが明らかになった.
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