子牛の唾液腺におけるIgA産生能の発達過程を明らかにするため,出生直後から52週齢までの子牛を供試して,血清•混合唾液•唾液腺組織(下顎腺•耳下腺)のIg各クラス濃度の推移と唾液腺組織の形質細胞の分布を調べて次の結果を得た.1. 血清のIgAレベルは初乳摂取後に顕著に増加するが2週齢までにほぼ消失し,その後は52週齢まで明らかな増加を示さなかった.2. 唾液のIgAレベルは初乳摂取後に血清と同様の一過的な増加を示した後,4週齢から再び急増して52週齢まで増え続けた.3. 下顎腺組織のIgA含量は4週齢から52週齢にかけて増加したが,耳下腺では常に低く推移し,そのクラス組成も血清の組成とほぼ同じであった.4. 下顎腺組織の形質細胞は2週齢までの子牛ではほとんど認められなかったが,4週齢子牛で急増し52週齢まで分布密度の増加が認められた.耳下腺では52週齢においても形質細胞は極めて少なかった.5. 下顎腺に出現した形質細胞の大部分は,ペルオキシダーゼ標識酵素抗体法によってIgA抗体と特異的な陽性反応を示し,IgA産生の形質細胞であることを認めた.これらのことから,子牛唾液中に増加する分泌型IgAは,2~4週齢間に下顎腺組織で急増した形質細胞に由来し,子牛の分泌型IgAによる局所免疫機能が比較的早期に発達することが認められた.