日本畜産学会報
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めん羊の静脈内セクレチンおよび十二指腸内塩酸投与に対する膵外分泌反応に及ぼすアトロピンの影響
加藤 清雄安藤 徹足立 憲隆峯尾 仁牛島 純一
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1987 年 58 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

めん羊において, 外因性セクレチンと十二指腸内にHC1を投与することにより放出される内因性セクレチンの膵外分泌反応に及ぼす静脈内アトロピン注入の影響を明らかにするために, 本試験を行なった. 静脈内セクレチン投与により, 膵液流量は2.32ml/10min増加し, タンパク質濃度は14.4mg/ml低下した。十二指腸内へのHC1投与によっても同様な反応が観察され, 膵液流量は2.23ml/10minの増加を示し, タンパク質濃度は16.4mg/mlの低下を示した. セクレチンとHC1による膵液タンパク質濃度とアミラーゼ活性の低下率は, セクレチンとアトロピンの効果が重なったために, アトロピン注入 (10μg/kg・min) 下の方が, アトロピンを注入しなかった場合よりも大きかったが, セクレチンとHCIによる膵外分泌反応はアトロピン注入により有意には抑制されなかった. これらの結果は, めん羊において, 膵臓の導管細胞に対するセクレチンの作用も, 小腸粘膜細胞からのセクレチン放出にも, コリン作動性機序は関与していないことを示している.

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