58 巻 (1987) 12 号 p. 1086-1094
採食に伴うインスリン分泌に対する生理的レベルの第一胃内プロピオン酸および暑熱の影響を明らかにするために, めん羊にアルファルファヘイキューブ単一飼料あるいはアルファルファヘイキューブにプロピオン酸カルシウム (10mmo1/kgBW) を添加した飼料 (高プロピオン酸飼料) を給与し, 常温 (20℃) あるいは暑熱 (30℃) に暴露した. 採食に伴って第一胃内揮発性脂肪酸 (VFA) 濃度は増加し, 特に高プロピオン酸飼料給与時のプロピオン酸濃度が著しく増加した. 採食後の血漿グルコース濃度はアルファルファヘイキューブ単一飼料給与時よりも高プロピオン酸飼料給与時の方が高く推移した。血漿インスリン濃度は両環境ともアルファルフアヘイキューブ単一飼料給与時に二相性の分泌を示し, 高プロピオン酸飼料給与時には速やかに著増した. アルファルファヘイキューブ単一飼料給与時において血漿インスリン濃度は採食後初期の段階では常温時よりも暑熱時に高い傾向を示した. 血漿グルコース濃度に環境温度による差は認められなかった. 以上の結果より, めん羊において生理的レベル内のプロピオン酸の第一胃内投与はインスリン分泌を引き起こすと結論される. 通常飼料給与時に血漿インスリン濃度は常温時よりも暑熱時に高い傾向にあるが採食に伴うインスリン分泌反応に差はないと思われた.