日本畜産学会報
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軟卵産生鶏における骨髄骨の組織学的研究
吉子 裕二楠原 征治石田 一夫
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1987 年 58 巻 2 号 p. 123-130

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抄録

軟卵産生鶏の大腿骨における骨髄骨の組織学的態度を卵が子宮部に存在する時期について調べ, 正常卵産生鶏の骨髄骨と比較検討した.
軟卵産生鶏の骨髄骨は正常卵産生鶏に比べ, 骨髄腔内に過度に形成されていた. これらの骨髄骨は幅が厚く, 基質には不規則に轡曲した層板構造が観察され, 基質内部に埋没する骨小腔の一部は拡張し, 空胞化していた.
軟卵産生鶏における骨髄骨の基質組成は, 組織化学的観察によると, 正常卵産生鶏とは逆にコラーゲン線維が多く, 酸性粘液多糖類は少なかった. また, コンタクトミクロラジオグラフィによると, これ骨髄骨は高度に石灰化していた.
軟卵産生鶏の骨髄骨表面に出現する破骨細胞は正常卵産生鶏に比べ, 数が少なくまた萎縮したものが多かった. これらの破骨細胞は酸性ホスファターゼおよびコハク酸脱水素酵素活性が弱い傾向を示した.
これらのことから, 軟卵産生鶏の骨髄骨では卵殻形成に必要なカルシウムの放出が不活発であることがうかがわれた.

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