器官培養したマウス卵巣内における卵母細胞の発達および透明帯の形成過程を組織学的に検討し,生体内における発達と比較した.出生直後の雌マウスより採取した卵巣を培養し,2~6日後,プロナーゼ処理によって得た卵母細胞の直径を測定するとともに,組織染色標本を作製した.その結果,出生直後の卵巣の卵母細胞は直径25μmに満たず,周囲には透明帯は形成されていなかった.しかし,培養6日後,卵母細胞の3%は35μm以上に発達し,卵母細胞の一部にはすでに透明帯が形成されていた.また,顆粒膜細胞は生体内では卵母細胞の発達と透明帯の形成に伴って,扁平な形態から立方状へと変化し増数するのに対して,器官培養卵巣内では扁平なままであった.