59 巻 (1988) 2 号 p. 117-122
ホルスタイン種泌乳牛4頭を環境制御室に収容し,環境温度18°C,相対湿度60%の一定に維持した条件下で,泌乳牛の主要ミネラル出納と乳量との関係を検討した.泌乳牛には,ビートパルプを乾物で約4kg,また粗飼料と配合飼料の比率を1:1にして飼料給与し,粗飼料にはオオクサキビサイレージおよびトウモロコシサイレージを利用した.実験は,給与粗飼料全体に占めるオオクサキビサイレージの乾物割合を0,30,50および70%の4水準を設定し,1期2週間のユーデン方格法で行なった.オオクサキビサイレージの主要ミネラル濃度がトウモロコシサイレージのそれよりも高い値を示したが,泌乳牛の主要ミネラル摂取量はほぼ要求量を満たしていた.牛乳の主要ミネラル濃度と乳量間には,Ca濃度が5%水準で,またPおよびMg濃度が1%水準でそれぞれ負の有意な相関が得られた.乳量とCa蓄積量間に5%水準で負の有意な相関が,またCa吸収量とP吸収量およびCa蓄積量とP蓄積量間に5%水準で正の有意な相関が得られた.また,高乳量時のCaおよびP出納は負であったが,乳量が減少するにつれてそれらは正に変わったことから,高乳量時には飼料からのCaおよびP摂取だけではそれらの要求量を満たすことができず,体内に蓄積しているCaおよびPを利用してそれらの要求量を補い,乳量が減少した時に再びCaおよびPを体内に蓄積していることが示唆された.泌乳牛のMgおよびNa摂取量がそれらの要求量よりも高いレベルにあったので,MgおよびNa蓄積量はいずれも正の値であった.また,トウモロコシサイレージのK濃度が低濃度であったので,トウモロコシサイレージを多給した場合にはK蓄積量が低下する傾向を示した.