日本畜産学会報
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山羊における低級脂肪酸の門脈-動脈濃度差に及ぼす暑熱環境の影響
砂川 勝徳高橋 宏古謝 瑞幸本郷 富士弥
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1988 年 59 巻 3 号 p. 247-252

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抄録

暑熱環境下の反芻家畜の第一胃における低級脂肪酸(VFA)吸収の動態を明らかにするために,動脈および門脈カテーテル装着山羊を用いてVFAの門脈一動脈濃度差を測定した.動物にはアルファルファヘイキューブおよび肉牛用配合飼料を常温および暑熱両環境で1日2回(10時と17時)同量採食させ,給餌時に1時間の時間制隈給水を行なった.常温環境(23°C,相対湿度80%)時,暑熱環境(32°C,相対湿度80%)暴露後4日(暑4)および20日(暑20)に,午前10時から翌朝8時まで経時的に,頸動脈および門脈血液を同時に採取し,VFA濃度を測定した.全動物は,常濃,暑4および暑20において給与飼料を1時間以内で全量採食した.各時刻における動脈血液中の酢酸,プロピオン酸,n-酪酸,イソ-酪酸およびイソ-吉草酸の各VFAの濃度は,暑4および者20ともに常温環境における値との間には差が認められなかった.一方,各時刻における門脈血液中の酢酸,プロピオン酸,Tソ-酪酸およびイソ-吉草酸濃度は,暑4および暑20においてそれぞれ常温環境における値よりも増加する傾向にあった.各時刻における門脈血液n-酪酸濃度は,暑4および暑20のいずれの場合も常温環境における値に近い値であった.したがって,各時刻における酢酸,プロピオン酸,イソ-酪酸およびイソ-吉草酸の各VFAの門脈-動脈濃度差は,暑4および暑20においてそれぞれ常温環境における値よりも増加する傾向にあった.n-酪酸の門脈-動脈濃度差は,暑4および暑20のいずれの場合も常温環境における値とほぼ等しかった.
以上の結果から,暑熱環境下の山羊の第一胃における正味のVFA吸収量は,n-酪酸を除いて増加することが示唆された.

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