日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
北海道の乳牛現場検定データによる種雄牛と雌牛の同時評価
鈴木 三義光本 孝次鶴田 彰吾
著者情報
ジャーナル フリー

60 巻 (1989) 8 号 p. 755-760

詳細
PDFをダウンロード (397K) 発行機関連絡先
抄録

現行の種雄牛と雌牛の評価においては,種雄牛評価を行ないその結果を用いて雌牛の評価を行なっているが,これらを同時に評価し結果を現行のものと比較した.分析に供した全産次を含むデータは,1975年から1987年3月までに乳期を完了した北海道乳牛検定ファイルからの乳量および乳脂量の2形質である.データのスクリーニングは,北海道乳牛検定協会に準じた.条件を満たした泌乳記録は,10,482牛群の615,024頭の雌牛からの延べ1,672,032個の泌乳記録であった.線形モデルは,母数効果として牛群•年次効果,変量効果として雌牛の相加的遺伝子効果と恒久的環境および残りの遺伝的効果,そして,残差を仮定した混合モデルである.雌牛の相加的遺伝子効果間の分散共分散として近交を考慮した分子血縁行列を仮定した.ただし,牛群間に渡る雌牛を経由した関係については無視した.また,種雄牛においては,父と母方祖父の情報を用いた.遺伝率と反復率は,両形質とも0.25および0.40とした.評価された種雄牛は全部で4,525頭で,現得の初産娘牛の記録を用いるものに比較して2.3倍に増加した.少なくとも初産の娘を持つ種雄牛評価値と現行の評価値間の相関係数は,0.795(乳量)と0.757(乳脂量)と低く,1,000頭以上の娘を持つ81頭の相関係数においても0.933(乳量),0.866(乳脂量)であった.雌牛評価値における現行と同時評価間の相関係数は,全体では0.959(乳量),0.941(乳脂量)と種雄牛のそれらに比較して高いが,乳量,乳脂量とも1%以内の能力の高い個体1,462頭を選んだ場合,乳量,乳脂量とも0.909および0.908とそれぞれ低くなった.同時評価を行なうことにより,計算コストを増加せずに種雄牛評価における交配牛の偏りを少なくし,多重記録の利用による評価値の正確性の向上が期待できることが推察された.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top