60 巻 (1989) 9 号 p. 830-835
凍結精液の需要形態の変化が北海道のホルスタイン雌牛集団に与えた影響を調査する目的で,近交係数および血縁係数を推定した.また,交配傾向を明らかにするために2つの仮想集団を作出し,実集団と比較検討した.調査対象は日本ホルスタイン登録協会北海道支局に登録されている1978,1980,1982,1984および1986年生まれの雌牛集団とした.近交係数の最大値は年次の進行に伴って顕著に低下した.近交係数の構成割合に関する年次変化は明らかではなかった.血縁関係のない組合せの割合は年次に伴って減少した.一方,10%以下の血縁関係にある組合せの割合は増加した.実集団と仮想集団の近交係数および血縁係数の比較から,実集団において特定種雄牛に需要が集中するため同一年次に出生した雌牛間で血縁関係をもつ組合せの割合は増加しているが,近親交配を意識的に避けた交配が行なわれていると考えられた.