61 巻 (1990) 11 号 p. 978-983
本研究は,乳中のClostridium tyrobutyricum胞子を検出するための選択培地を開発する目的で実施した,本報で使用した培地は, Cl. tyrobutyricumが廃糖蜜を資化して多量のガスを発生する性質を利用したものである.Cl. tyrobutyricumのガス発生に必要な培地成分の最適な濃度を検討し,その検出培地の組成は,廃糖蜜10%,L-システイン塩酸塩0.15%,寒天1.5%(pH7.0)とした.この改変糖蜜培地5mlを酪酸菌胞子を含む脱脂乳10mlに添加混合し,急冷して,37°C,5日間培養した.本改変培地は,優先的にCl.butyricum胞子の発芽,増殖およびガス発生を促進し,Cl. butyricumおよびCl. sporogenes胞子のガス発生を抑制した.本検出法を用い,Cl. tyrobutyricum胞子濃度0.3~30/mlの検体について,最確数法により胞子数を計数した結果,その胞子数は接種胞子数とよく対応し,計数値の再現性も良好であった.
本法を用いて計数した生乳中のCl. tyrobutyricum胞子数は,ml当り,夏季乳51試料で4.5~0.04以下,冬季乳55試料では25~0.04以下の範囲内にあり,胞子数ml当り05以上の試料は,夏季乳で約10%,冬季乳では約40%であった.
結論として,本法は,Cl. tyrobutyricum胞子のみを識別して計数することができ,しかもコロニ-計数法よりも簡便である.