61 巻 (1990) 5 号 p. 433-437
Wistar系成熟雌ラットの妊娠20日目の胎盤の微細構造と母体静脈血中に投与したポリスチレン粒子の胎盤への透過性を検討した.妊娠20日目の血絨毛性胎盤は,栄養膜細胞が明確な三層に分化し,血管分布が多く複雑な迷路構造を構成している.母体と胎子間は,栄養膜第I層,第II層,第III層と基底膜および胎子血管内皮より構成されている.ポリスチレン粒子の胎盤への透過性では,投与1時間後で,第1層内に粒子が単独でみられた.投与2時間後では,第1層内に集塊となった粒子群が多く認められ,投与3時間半後では,第1層と第II層内に集合体となった粒子が多くみられた,投与2時間と3時間半後では,第I層の栄養膜が突起を旺盛に出し粒子を取り込んでいる像が特徴的であった.第III層には粒子の侵入は全く認められなかった.このことより,第III層が防御機構として働くものと考えられる.