日本畜産学会報
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御崎馬における小松群と扇山群の頭数の変動要因
加世田 雄時朗
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1991 年 62 巻 12 号 p. 1171-1178

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抄録

御崎馬は,繁殖シーズンの行動域の違いによって,小松群と扇山群に大別できる.小松群は1973年の21頭から1984年の62頭まで増加したが,その後は減少した.一方扇山群は,1973年の38頭から1977年の25頭まで減少したが,その後増加し,1986年には両群の頭数は逆転した.この両群の頭数の変動に影響する要因として,出生,死亡および両群間の移動について検討した.小松群は,安定した配偶関係による高い出生率の持続によって若馬が増加し,成雌馬が補充され,全頭数は急増した.若馬の増加は,密度依存的にその扇山群への移出を促した.1985年からは,出生率の急減および死亡数と移出数の増加によって,全頭数は減少傾向に転じた.一方,扇山群は,成雌馬の死亡と移出および統率力のある種雄馬の死亡によって,出生率が減少し,全頭数も減少した.しかし1978年以降は,小松群からの若馬の移入と,それに伴う成雌馬や種雄馬の補充によって出生率が上昇し,全頭数も増加傾向に転じた.小松群で生まれた子馬の約半数が扇山群へ移動したが,その一部は,扇山群内で成馬となった後再び小松群へ戻り,新しいハーレム群を形成した.以上の現象は,この期間小松群は繁殖集団として,扇山群は育成集団として機能したこと,および両群の間の移動によって,繁殖とハーレム群の形成に有利な条件が作りだされていることを示しているものと解釈される.

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