各10匹のラットに視床下部満腹中枢破壊手術および擬手術を25~28日齢で施した.手術後90日の肥満ラットおよび擬手術ラットの12種の骨格筋(咬筋,僧帽筋,上腕三頭筋,橈側手根仲筋,深胸筋,最長筋,大腿二頭筋,半腱様筋,米膜様筋,長指仲筋,ヒラメ筋および腓腹筋)における免疫および酵素組織化学的筋線維型の構成を調べた.各筋線維型別に筋線維の横断面積を画像解析装置を用いて計測した.擬手術ラットの咬筋は,速ミオシン抗体に陽性でアルカリ安定ミオシンATPase活性が高く酸安定ミオシンATPase活性の低い速筋線維(II AおよびII B型)のみから構成されていた.しかし.視床下部性肥満ラットの咬筋においては,これらの速筋線維以外に,速ミオシン抗体に陰性でアルカリ安定ミオシンATPase活性が低く酸安定ミオシンATPase活性の高い遅筋線維(I型)が観察され,かつ筋線維の肥大が認められた.両処理群間で,他の11種の骨格筋の筋線維型構成の有為差は認められなかったが,視床下部性肥満ラットの筋線維の横断面積は全ての筋線維型で擬手術ラットより小さかった.以上の結果から,速筋線維から遅筋線維へ筋線維型が変換することが判明した.この変換は,視床下部性肥満ラットの咬筋に運動強度は弱いが長期に及ぶ運動負荷がかかったことに起因すると考えられた.