日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
黒毛和種直接検定牛における優性血縁関係の程度とその遺伝的評価
石田 孝史向井 文雄
著者情報
ジャーナル フリー

65 巻 (1994) 12 号 p. 1083-1091

詳細
PDFをダウンロード (616K) 発行機関連絡先
抄録

近年,Animal Modelによる遺伝的評価が広く用いられてきているが,多くは相加的な遺伝子効果のみを取り扱ったものである.しかし,分析対象形質に優性効果が関与するならば,相加的遺伝子効果の予測値の正確度を増加させるたあにも優性効果を考慮する必要がある.本研究では,黒毛和種直接検定を受検した若雄牛群における優性血縁関係がどの程度か,また混合線形モデルに優性効果をも考慮した場合にいかなる効果があるかを検討した.供試牛は鹿児島県畜産試験場において,1974年から1992年にかけて直接検定を受検した黒毛和種雄牛636頭とその血統を連結するための個体579頭の計1215頭とし,対象形質は検定期間中の1日当り増体量とした.
全評価個体間の相加的血縁関係は平均0.039,血縁関係にある個体の割合は34.5%となった.一方,優性血縁関係は0.0005,優性血縁関係にある個体の割合は2.1%と低い割合であった.狭義の遺伝率は相加的効果のみを考慮するモデルで0.179となり,近交退化の影響を考慮するモデルで0.193となった.優性分散の推定値は0.001となり,狭義の遺伝率は0.189,広義の遺伝率は0.226となった.本研究においては,分散成分の推定値,育種価予測値およびその正確度と順位相関のすべての結果において優性効果を考慮したモデルは近交退化の影響を考慮した相加的モデルによる結果と大差は生じなかった.したがって,この程度の優性血縁関係しか存在しない集団では,膨大な計算時間を必要とする優性効果を考慮したモデルを適用する必要性は低いといえる.しかし今回は1日当り増体量1形質のみで,またわずか1県のみの事例でもあり,どの程度の優性血縁関係がある場合に,どういった形質に影響が生じるかを定量的に明らかにする必要があると思われる.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
次の記事

閲覧履歴
feedback
Top