日本畜産学会報
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めん羊における採食に伴う血漿インスリンおよびグルカゴン濃度の変化ならびにインスリン分泌能および作用に対するサリノマイシン添加の影響
佐野 宏明寺島 福秋高橋 秀之
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1994 年 65 巻 7 号 p. 602-609

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抄録

採食に伴う血漿インスリン,グルカゴン濃度の変化,およびグルコースに対するインスリン分泌能,組織に対するインスリン作用に及ぼす飼料へのサリノマイシン添加の影響を明らかにするために,サリノマイシンを20mg/日の用量で添加した飼料(アルファルファヘイキューブ2.0%体重,市販配合飼料0.5%体重),あるいは無添加飼料をそれぞれ2週間にわたりめん羊に摂取させた.インスリン分泌能および作用はグルコースクランプ法のHGC (hyperglycemic clamp)法およびEGC (hyperinsulinemic euglycemic clamp)法を用いて測定した.採食実験において血漿インスリン,グルカゴン濃度およびインスリン/グルカゴンモル比はいずれの区においても採食に伴って増加し(P<0.05),増加の大きさは無添加区よりもサリノマイシン添加区が小さい傾向を示した.HGC法におけるグルコース注入速度に対する血漿インスリン濃度増加の割合(インスリン分泌能),およびEGC法におけるグルコース注入速度(インスリン作用)は両区に差がなかった.以上の結果から,めん羊において飼料へのサリノマイシン添加は採食に伴う血漿インスリンおよびグルカゴン濃度,ならびにグルコースクランプ法によるインスリン分泌能および作用に有意な影響を与えない可能性が示唆された.

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