日本畜産学会報
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ウシκ-カゼインおよび鶏卵オボムチンからの糖ペプチドのリゾチーム•アフィニティークロマトグラフィーによる分画
齋藤 忠夫中村 正冠木 敏秀北澤 春樹伊藤 敞敏
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1994 年 65 巻 7 号 p. 624-630

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抄録

鶏卵白リゾチーム(LZ)をリガンドとして固定化したLZ•アフィニティークロマトグラフィーにより,N-アセチルノイラミン酸(NANA)および/またはエステル硫酸基(-SO4)を結合する糖ペプチドの迅速•特異的な分画を試みた.2種のモデル試料として,ウシκ-カゼイン(非硫酸化シアリル糖タンパク質)のキモシン消化で得られたカゼイノグリコペプチド(CGP:f106-169)および鶏卵オボムチン(OM,硫酸化シアリル糖タンパク質)のアクチナーゼE消化で得られたオボムチン糖ペプチド(OGP)を用いた.吸着成分の溶出は,NaClを用いたステップワイズ溶出法(0-0.5M)が優れていた.CGPでは,無糖鎖ペプチドや中性糖鎖を結合するアシアロ糖ペプチド(CGP-O)を非吸着画分に除去でき,シアリタル糖ペプチド(0,1M•NaCl溶出,CGP-I)を効率良く精製できた.OGPでは,中性糖鎖(非吸着)と酸性糖鎖(吸着,0.1-0.3M•NaCl溶出)を結合する糖ペプチドに分画され,とくに後者はシアリル糖ペプチド(0.2M•NaCl溶出)と硫酸化シアリル糖ペプチド(0.3M•NaCl溶出)に明確に1段階のクロマト操作により,NANAの結合に安定な中性pH領域で分画できた.また応用実験として,0.2M•NaCl濃度下での鶏全卵白糖ペプチド(WGP)の分画では,OMを単離することなく,OM由来の硫酸化シアリル糖ペプチド(WGP-I)を単離することができた.このことは,未知試料由来の混合糖ペプチドから硫酸化糖ペプチドのみを単離することの可能性や,カラムのマクロ化による硫酸化糖ペプチドの大量調製の可能性を示唆していた.

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