66 巻 (1995) 2 号 p. 160-166
チルド牛肉の長期にわたる熟成中の変化と熟成期間の限界を検討する目的から,64日間チルド保存した牛肉の物性と官能評価および化学成分の変化について調べた.試料は4頭のホルスタイン種経産牛から得た左右サーロイン計8本を用い,それぞれ4等分し,真空包装後-1.5~0°Cに4,8,16,32,40,48,56および64日間保存した.経時的に官能検査,テンシプレッサーによる硬さの測定,肉色測定および呈味成分の化学分析を行なった結果,以下のことが明らかになった.
(1) テンシプレッサーによる硬さの測定値と官能検査による評価値のいずれも,牛肉が,熟成4日目から32日目まで徐々に軟らかくなり,その後は64日目まで変化しないことを示した.なお,官能検査による軟らかさとテンシプレッサーの測定値の相関係数は0.755(P<0.01)であった.
(2) 官能検査結果から,64日目に明らかに味の低下したものが4件中2件見られ,その内の1件は細菌数の増加によると考えられたが,もう1件については細菌数の増加は見られず,フレーバー成分の分析結果からも原因を明確にすることはできなかった.他の2件については,味の低下が見られなかった.また,肉色はすべて良好な状態を維持していた.
(3) 熟成を長く行なっても軟化は途中で停止し,かえって品質を低下させる場合があることから,チルド牛肉は屠畜後32から56日目の間に消費するのが最も望ましいと考えられた.