日本畜産学会報
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サメ,ブタ及びウシ皮コラーゲンのホルムアルデヒド及び塩基性硫酸クロムに対する反応性
吉村 圭司長南 康正白井 邦郎
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1997 年 68 巻 3 号 p. 285-292

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抄録

サメ皮コラーゲン線維の性質について,既に産業的に重要な原料として使用されているウシやブタの皮コラーゲンと比較して特徴を検討している.本報告では,この3種のコラーゲンにつき(それぞれ,SC, PC, BCと略す),代表的なタンパク質架橋試薬であるホルムアルデヒド及び塩基性硫酸クロムに対する反応性を結合性と鞣し効果(熱的性質)の面から検討した,ホルムアルデヒド処理においては,3種のコラーゲンとも最終pHが高くなるほど熱変性温度(Td)は高くなったが,SCはPCやBCと比較して,Tdは低いが未処理からのTdの上昇(Δ To)は大きかった.また,ホルムァルデヒド結合量はSCが最も高いことが認められた.SCはホルムアルデヒドにより特異的に耐熱性が高まるが,初期段階の膨潤度も重要な因子となることが明らかとなった.塩基性硫酸クロム処理において,SC及びPCともクロム吸着速度は,塩化ナトリウムの添加によって抑制された.塩化ナトリウムの有無がTdへ与える影響を見ると,反応初期にはその影響が見られるが,全体としてはTdに顕著な影響を示さなかった.特にSCとPCの間では,Tdの上昇経過に顕著な違いは見られなかった.しかし,SCのΔToは製革工程のクロム鞣し段階では小さいが,中和,乾燥と工程が進むにつれて増大し,最終的にはPCまたBCのTd値と差が小さくなった.SCはタイプの異なる2種類の鞣剤に対する反応性についてもPCやBCと異なる性質を持っていることが示唆された.

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