日本畜産学会報
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二重相互交配による標準家系のF1世代の交配方法が連鎖解析の効率に及ぼす影響
佐藤 正寛古川 力
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1998 年 69 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

連鎖解析のための標準家系の交配方法がマーカー間の距離の推定および連鎖検定の効率に及ぼす影響をコンビュータシミュレーションによって調べた.標準家系は二重相互交配によって作成するものとし,そのF1は雄3頭雌6頭の交配から各腹雄2頭雌4頭を得るものとした.次にF1世代の交配により,各腹8頭,計192頭のF2を得るものとした.このF1世代は,(1) 全,半きょうだいを回避する交配,(2) 無作為交配,(3) 全きょうだい交配の3通りを想定した.染色体の長さは1.2M(モルガン),マーカーの平均間隔は0.05,0.10,0.15または0.20Mとし,各マーカーには2つの多型を想定した.マーカーは染色体上に等間隔に配置した場合と無作為間隔に配置した場合の2通り,多型の頻度はすべての座位で0.5に固定した場合と各集団ごとの各座位でランダムな場合の2通りを想定した.得られた産子のマーカーの多型を調べることによって,染色体の長さおよびマーカー間の距離(組換率)を推定するとともに,ロッドスコア(Z値)を算出した.その結果,(1) 推定連鎖距離の平均二乗誤差は(1)が最も小さく,次いで(2),(3)の順であった.(2) 全マーカー間のうち連鎖の検定結果に有意な差(3<Z)が認められる割合は(1)>(2)>(3)の順であり,マーカーの平均組換率が大きいほど(1)と(3)の差は大きくなった.したがって,標準家系のF1世代においては,全,半きょうだいを回避する交配が最も望ましいと結論づけた.

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