69 巻 (1998) 8 号 p. 768-778
乳酸菌の抗菌作用に着目し,食品の発酵に新たに応用可能な野生の乳酸桿菌を中国内蒙古自治区の酸凝固型チーズより分離した.本研究では,この菌株(No. IMC-1)の形態的および生理的性質を調べることにより同定を行った.また,IMC-1株が生産する抗菌性物質の最適生産条件およびその性質について検索した.使用したIMC-1株はLactobacillus amylovorusと同定した.抗菌活性はMRS培地および脱脂乳培地のような緩衝力を持つ培地の培養濾液で検出され,脱脂乳培地の活性はMRS培地の場合よりも高かった.脱脂乳培地に窒素原として加えた酵母エキス,ペプトン,トリプトン,肉エキスのような培地成分のうち,酵母エキス含有の脱脂乳培地において一番高い活性を示した.抗菌性物質は30°Cから45°Cまでの培養温度で生産された.抗菌性物質の最適生産条件は0.5%酵母エキス含有の脱脂乳培地で72時間培養することであった.また,供試した各種細菌のうち,Lactobacillus, Lactococcus,EnterococcusおよびStreptococcus属の乳酸菌12株と,Bacillus subtilis, Staphylococcus aureus,Listeria monocytogenes, Pseudomonas fragiおよびEscherichia coliなどの食品由来の病原性および汚染性細菌に対して抗菌作用を示した.抗菌性物質は,121°Cで20分間の熱処理において失活せず,pHが低いほど強い活性が見られた.脱脂乳培地で生産される抗菌性物質の活性は,エタノール可溶性画分にすべてあり,陰イオン交換樹脂吸着画分に,セファデックスG-15カラムによるゲル濾過では溶出量84~96mlに相当するピークに認められた.