9 巻 (1936) p. 235-244
鷄卵を材料として飮料を製造する爲に先づ卵白の加熱による凝固及之を防止する方法につき實驗した結果卵白に豫め蔗糖を加へてよく溶かして置いて加熱すれば凝塊となることなく乳濁状の均質溶液となることを知つた。卵白の熱凝固防止に對して是れに鹽類を加へ又は豫め透析により鹽類を除くことは此の實驗の目的には效果が無い。又卵白に蔗糖を加へて長時間30∼50°に保温攪拌する間には蛋白質分解酵素の作用をも認められる。次に此の卵白乳濁液を稀釋し是れに更に酸味甘味香氣を附し又壜詰となして保存する方法につき研究したる結果酸味として乳酸,酒石酸,枸櫞酸等を混合して用ひ甘味としては卵白液を稀釋する際に蔗糖,果糖,葡萄糖,蜂蜜等を加へること及香料としてレモン,オレンヂ及ヴアニラ等を混合して用ひるのが適當であることを實驗した。又必要により人工的に着色することも有效である。
本研究により鷄卵を加工して新しき一種の飮料を製造する方法を確立した。