地理科学
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スリランカ西部における海岸地形の地形発達史
JINADASA KATUPOTHA
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1988 年 43 巻 1 号 p. 18-36

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抄録

スリランカ島西岸の海岸低地は,主に完新世に形成された砂州浜,バリアー島,砂丘,沈水あるいは隆起珊瑚礁,ラグーンや湿地,マングローブ沼沢地,ビーチロックより成る。その中でも,珊瑚礁やビーチロック,マングローブ沼沢地は,特に,熱帯海岸を特徴づける地形となっている。気候条件,砂の色調や組成,バリアーリッジの高度,ビーチロックや低湿地の分類(図1)および,西海岸ならびに南西海岸で行ったサンゴ化石,貝化石などの^<14>C年代測定結果(Katupotha and Fujiwara, 1987; Katupotha, 1983)から,西海岸における地域発達過程は,以下のように4つの時期に分けられることが明らかとなった。(1)Stage I. 後期更新世〜完新世前期:本地域に見られる低い丘やリッジ(5mから10mあるいはそれ以上の高度)は,主に風成砂に覆われ,古いバリアーリッジが形成された。(2)Stage II. 完新世中期〜完新世後期(6600-3700y. B. P):6170±70から5350±80y. B. P. (Katupotha and Fujiwara, 1987)にかけて,後氷期海進は急速に進行した。そして,その後も小さな振幅があったことが推測できる。すなわち,完新世中期において,海水準は現海水準おりも1mもしくはそれ以上高く,当時,旧流域は沈水してheadland bay beachesを形成したと思われる。バリアーリッジは3-5mの高度を有し,リッジの上層部は主に風起原と思われる細〜中砂に覆われていた。(3)Stage III. 完新世後期(約3700年前頃):西海岸において平均高潮位面と潮間帯よりわずかに高い位置に存在するビーチロックは,この時期に形成されたことが推測される。しかしながら,完新世中期から後期にかけて,海水準は現海水準より低くはならなかった。(4)Stage IV. 現在:現成の海浜,砂嘴,などの形成が行われた。各々の時期における海岸地形の多様性は,海,河川,生物といった営力が結び付いた形成過程や,準平原最下部の基底構造に関連している。そして,これらの地形の大半は,国内における主要な気候帯に対比できる。

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