地理科学
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東京都心三区で働く女性の居住地選択
中澤 高志
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2003 年 58 巻 1 号 p. 3-21

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抄録

本稿では,都心三区で働く女性に対して行ったアンケートに基づき,彼女たちの居住地選択に見られる特徴を世帯類型と関連付けて分析した。既存統計の分析からは,結婚と同時に住居を郊外に移す男性とは対照的に,就業を継続する既婚女性は職住近接を志向することが示された。アンケート対象者の分析では,「DINKs」よりもむしろ「核家族」に都心居住の傾向があることが明らかにされた。その原因の一つとして,「DINKs」は「核家族」に比べて夫の勤務地が郊外にある世帯が多いことが挙げられる。また,居住地移動の分析からは、結婚時の移動は住居の郊外化を進展させるが,結婚後に行われる居住地移動は,居住地を都心に回帰させることが明らかになった。都心回帰をもたらすような居住地移動は、「核家族」において多く行われており,「核家族」において都心居住の傾向が強いことと整合性を持つ。続いてシングル女性の持家取得について,若干の分析を行った。持家を取得するシングル女性は,学歴,年収ともに取り立てて高いわけではない。披女たちは交通の利便性などの立地条件を最優先して,持家の取得場所を決定しており,多くは前住地と同一の鉄道路線上で持家を取得している。シングル女性の持家取得を取り巻く状況は依然として厳しいが,借家への居住を継続する意思を持つシングル女性は少なく,持家の取得に踏み切るシングル女性の数は確実に増加するものと思われる。

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