地理科学
Online ISSN : 2432-096X
Print ISSN : 0286-4886
ISSN-L : 0286-4886
フォーラム
地域活性化手段としてのスポーツ
――日本におけるスポーツの地理学的研究のレビューから――
和田 崇
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 75 巻 1 号 p. 19-32

詳細
抄録

本稿の目的は,スポーツと地域活性化について,スポーツ社会学やスポーツ経済学など隣接領域の研究成果も参照しつつ,日本の地理学的研究の動向とそこで提起されてきた主な論点を整理し,今後の研究充実に向けた課題を提示することにある。日本では近年,スポーツが地域活性化の手段として用いられてきた。周辺地域では高度経済成長期からスポーツによる開発事業が本格化し,積雪山村にはスキーリゾート,海浜地域にはマリンリゾート,都市郊外にはゴルフ場が建設された。都市では1990年代以降にスポーツを手段とした都市再生戦略がブームとなり,スポーツ施設の建設・更新,クラブ・チームの立地とホームタウン活動,メガイベントの招致・開催などが行われてきた。これらは,当該地域に一定の経済効果をもたらしたほか,地域イメージの向上に貢献したり,住民が再結集する機会を提供したりした。しかし一方で,スポーツによる地域開発は,大規模な施設建設を伴うことから,自然環境を破壊したり,住民の生活環境にマイナスの影響を与えたりした。今後は,「スポーツ=地域活性化手段」という一面的な捉え方でなく,スポーツのもつ力,スポーツの果たす役割を現場から検証し,学界内はもとより政策立案者とも共有する必要があろう。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top