地理科学
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論文
広島県東広島市における枕崎台風と平成30年7月豪雨災害に伴う土石流分布と被害
岩佐 佳哉熊原 康博
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2020 年 75 巻 3 号 p. 109-116

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抄録

1945年9月に発生した枕崎台風は,広島県において明治以降に発生した災害の中で最も大きな被害をもたらしたが,その詳細は一部地域を除いて不明である。本研究では広島県東広島市を対象に,枕崎台風に伴って発生した土石流の分布を復元し,死者の分布と数を報告する。さらに,土石流の発生履歴を図示することの防災・減災における意義を示す。

空中写真判読の結果,対象地域において811カ所で土石流が発生し,少なくとも13人の死者があったことが明らかになった。また,西日本豪雨の土石流分布と比較すると,2度の土石流の崩壊源は異なる谷に存在し,下流部ではこれらが集まることで土石流による被害を繰り返し受けてきたと考えられる。

枕崎台風の土石流による被害を空中写真判読と水害碑や石仏,「学校沿革誌」を用いて復元し,西日本豪雨の土石流と重ねて図示した。これらは住民の防災・減災意識の向上に資する資料となりうると考える。

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