2020 年 75 巻 3 号 p. 127-135
平成30年7月豪雨時,愛媛県では主に肱川の氾濫による浸水と斜面崩壊が発生した。肱川の氾濫により野村盆地および大洲盆地において,大規模な浸水被害が生じた。野村盆地においては,沖積低地に立地する集落や公共施設等に大きな被害が生じ,一部では低位段丘面上の家屋も浸水した。大洲盆地は西部の一部を除き,大規模に浸水した。
斜面崩壊については航空写真判読により判読し,その範囲内で少なくとも3,410箇所の斜面崩壊を確認した。斜面崩壊は偏在しており,特に宇和島市吉田町周辺において極めて多数の斜面崩壊が発生していた。斜面崩壊が多発したのは,48時間積算降水量が概ね 260 mm以上,崩壊開始地点の傾斜が20度以上で,砂岩,泥岩の岩質の場所であった。