地理科学
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フォーラム
「場所の構築」過程の特質
――アメリカ地理学における議論から――
杉浦 直
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2021 年 75 巻 4 号 p. 229-240

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抄録

本稿は,北アメリカ(アメリカ合衆国及びカナダ)の地理学において「場所の構築(場所づくり)」を扱った8つの研究事例の主張や考察内容を検討し,それを通して「場所の構築」という地理的過程の特質を考察したものである。各事例で提示された「場所」は,そこに住む人々にとって自らの生活空間,領域であると同時に,彼らのアイデンティティ,エートス,価値感,ヘリテージと結び付く何らかのイメージや象徴的意味が付与された空間でもある。この「場所」を構築する具体的過程は,ほとんどの事例で景観(ランドスケープ)の形成過程として描かれる。「場所の構築」は,フィジカルかつ象徴的な方法で自らの領域を創り上げることであり,同時に特定の文化的文脈の下での理念的景観創出の過程でもある。場所の構築にあたっては,社会(コミュニティ,階級)や文化(レース概念,エスニック・アイデンティティなど)もともに構築され,両者は相互に支え合う。場所の構築を引き起こす主要な力は,それを担う人々の行動・活動など実体的諸行為に加えて言説・表現などの表象行為が重要になるが,外から働くまなざし,認知的表象,メディア的表象も一定の役割を演ずる。なお,場所の構築過程が進行する際の背景や文脈,主体の行為を規定するパラメータが各事例に個性を与えている。

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