智山学報
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不空所伝の金剛頂瑜伽経について(2) : 金剛智三蔵所伝の金剛頂経に関する一考察
田中 悠文
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1991 年 40 巻 p. 181-197

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抄録

不空三蔵が自ら語る所に拠れば、不空三蔵は師である金剛智三蔵より、瑜伽四千頌法を付授されたと云い。更に、インド・セイロンに於いて瑜伽十万頌の法蔵の印可を稟けたと云う。ここでいわれる瑜伽法門が、所謂「金剛頂経」系であるということは論を俟たない。しかし不空の時代には、初会の「金剛頂経」の基本となる四大品具備の聖典が成立していたに過ぎなく、その他の十八会・十万頌より成るといわれる広本の「金剛頂経」は未だその萌芽が認められる程度であったといわれている。ところが、不空・金剛智の訳に帰される経典・儀軌には、「金剛頂瑜伽経」あるいは「瑜伽金剛頂経」より抄出した旨明示される事が多い。本論は、不空三蔵の師金剛智三蔵の所伝せる「金躍頂経」系法門を考察する事により、不空三蔵所伝の法門を研究するバックボーン足らしめんとするものである。

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1991 智山学報
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