症例は11ヵ月男児, 熱湯をかぶり頭部, 胸部, 右上肢に16%のⅡ度熱傷を受傷, 第5病日から発熱し抗生剤の内服が施行されたが解熱せず, 血液培養でMRSAが検出された. テイコプラニン, バンコマイシンの点滴を施行し, 血液培養で菌は検出されなくなり, 一旦解熱した. しかし胸部X線写真で右上腕骨の異常陰影を指摘され, 当科紹介となった. X線写真, 骨シンチ, MRIにて上腕骨近位骨幹端部, 遠位骨幹端部に膿瘍の形成を認めた. 切開排膿, 持続吸引ドレナージチューブの留置を施行した. 術後, ホスホマイシンとバンコマイシンの併用療法を施行し, 速やかに炎症所見は軽減した. 現在, 可動域制限なく, 良好な上肢運動が認められる. 起炎菌にMRSAを認めた場合, 感受性のある抗生剤を有効血中濃度に達するまで速やかに投与し, 膿瘍形成および化膿性関節炎が併発し, 抗生剤投与により炎症の鎮静化を認めない場合, 外科的処置を急ぐべきであると考える.