3Dプリンタの教育的な活用が進められている。3Dプリンタの材料は幅広く硬軟様々な印刷物が可能であるものの,学校教育において材料に着目した研究事例はほとんど見られない。材料が重要な要素となる美術科の立体表現において基礎的な資料を得るため,本研究では次の3点を行った。(1)3Dプリンタでやわらかい材料を用いて立体作品を制作しその作品に対する専門家からの評価を得た,(2)美術科の学習指導要領解説における材料に関する記述を整理した,(3)(1)と(2)を踏まえ,3Dプリンタという表現方法とその材料から想定される学習活動や指導事項などについて考察した。その結果,専門家からは,やわらかい材料から生まれた質感の新鮮さが一定の評価を得るとともに新たな造形の可能性が指摘された。学習指導要領解説には,材料の特性を生かし新しいことに挑戦して表現することなどが述べられており,3Dプリンタは,材料の特性を生かしたり新しい表現手法に挑戦したりする点で,児童・生徒らの表現力等の育成を支援する可能性があることなどが示唆された。