主催: 日本化学会情報化学部会
共催: 日本薬学会, 日本農芸化学会, 日本分析化学会, 日本コンピュータ化学会
会議名: ケモインフォマティクス討論会
回次: 39
開催地: 浜松
開催日: 2016/09/29 - 2016/09/30
p. Y2-
タンパク質とリガンドの結合において水分子が重要な役割を果たすことはよく知られているが,これらの水分子の効果をドッキング計算に取り入れるのは容易ではない.水和したタンパク質の活性部位に存在する水分子の自由エネルギーは様々だが,通常そのプロファイルはバルクの水分子とは大きく異なる.リガンドはタンパク質に結合するとき,元々タンパク質の活性部位を満たしてたいた水分子をバルクへと放出する.従って排除される水分子の自由エネルギー変化はタンパク質ーリガンド結合における結合自由エネルギーに大きく寄与する.例えば,タンパク質の疎水性部位に存在する水分子は水素結合を適切に形成できないためバルクの水分子と比較して不安定である.つまり,リガンドがこのような水分子をバルクへと放出することはリガンドの結合自由エネルギーにおける大きな利得となる.本研究では,分子動力学法を用いて得た水分子の自由エネルギーを取り入れることによってドッキング計算の精度向上を試みた.