リアルオプションと戦略
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プロジェクトの総合的評価理論 『リスク鋭感的価値尺度法』
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2017 年 9 巻 2_Monographs 号 p. Cover_1_ja-Cover_1_jp

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抄録

プロジェクトの価値評価の問題は、現代ファイナンス理論あるいは現代のコーポレート・ファイナンス理論において最重要な研究課題であろう。この問題は、不確実性を内包しているキャッシュフローの価値をどのように評価するのが適切かという問題に帰着する。 上の研究課題は、「不確実性を伴っている資産過程の価値を適切に評価する」という数理ファイナンス理論の主要な研究課題と共通性のある研究課題である。したがって、数理ファイナンス理論の研究成果をプロジェクトの価値評価の問題に適用しようと試みることは自然な発想であろう。ただし、数理ファイナンス理論を適用しようとする場合にはその理論の前提条件を十分に注意しなくてはならない。 効率的な市場の存在を前提として議論してよい問題ならば、数理ファイナンスの標準的な理論(Black-Scholes の理論、無裁定理論、など)が適用可能である。しかしながらこの前提条件が満たされていないと考えられる場合が多く存在している。特にプロジェクトの価値評価の場合にはこの前提条件が満たされていないだけでなく、そのプロジェクト独自の特性やプロジェクトの推進母体(企業等)に固有の前提条件を考慮しなければならないのが一般的であろう。 従ってプロジェクトの価値評価の場合には、金融オプションを主たる対象として発展してきた数理ファイナンス理論の標準的な理論(裁定理論)の無原則的な適用は慎むべきであり、市場の効率性や流動性が必ずしも前提とできない場合に柔軟に対応できる理論を構築することが必要である。こうして我々は次のような研究課題に到達する。

© 2017 日本リアルオプション学会
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